「パキラ・グラブラ」
-Pachira glabra -


パンヤ科・パキラ属

中米、メキシコ原産
パキラは、園芸店では必ず見かける観葉植物ですね。
テーブルに置けるようなミニサイズのものから、実生苗の茎がまだ柔らかいうちに三つ編みや五本の編み込みなどして仕立てる大型の鉢植えまであります。

それらはみな「パキラ・アクアティカ」という名前で国内に流通しています。

ところが、日本に導入されているのは、実はアクアティカではなくて、「パキラ・グラブラ」(Pachira glabra)というのだそうです。
どちらもよく似ているので、葉では見分けにくいようですが、決定的な違いは、オシベの色です。
トランペット型の長いツボミが、開花すると、花弁がくるりと反転して、長いオシベを広げます。この仕組みはどちらも同じですが、アクアティカのオシベは、先端へ行くほど赤くなって、例えて言えばネムノキの雰囲気です。
果実の大きさも違い、アクアティカの方は、カイエンナットとかガイアナチェストナットという名前で加工して食べられています。

花は、存在感たっぷりの大きめで、花弁が広がるときにバニラの香りがする、と資料にありました。また、コウモリに受粉のお手伝いをしてもらうコウモリ媒花でもあります。

これまで、当温室ではなかなか咲いてくれず、2010年春頃から、たまに花をつけるようになりました。
しかし、夜開性あるいは早朝に開花するので、花を確認できるチャンスは少なく、以前私が目撃したのは、既に落ちてしまった花でした。
でも、たまたままだ開花中の花を、ガイド仲間の昌己さんが見つけ、花夢に写真を提供してくださったので、ありがたく掲載させていただきました。

オシベが盛大に伸び、メシベもしっかり首を伸ばし、花弁はくるくる巻いています。
後日、またツボミが大きくなってきたよ、とツボミの写真も提供していただきました。
ツボミの期間は長いのです。多分、この状態から開花までは、ひと月はかかりそう・・・。

落ちた花を伸ばしてみると、18.6センチあったよ、と、ガイド仲間の博達さんも写真を提供してくれました。そして、右の赤いオシベの花が、アクアティカ本来の花(シンガポールで撮影)、と、これも博達さんの提供です。

トップの写真は、2011年の花です。咲きそう・・と朝一で駆け付けたガイド仲間のうた子さんの画像を頂きました。
2011年の夏、職員さんの努力で、果実が付きました。
そして秋になって、こんなプレートがつりさげられました。


   最後の写真は、2012年9月、はじけた果実が、ガイドステーションに展示された時のものです。
果実には、硬い表面に6本の筋が入っています。そこから割れるのですね。
硬い皮の中には、毛綿に包まれた巻貝のような模様の種子が入っているのでした。

  ちなみに、園芸店で販売されている、パキラ・アクアティカは、本来のパキラ・グラブラと改名すべきなのですが・・。一度流通してしまうと、変更は簡単なことではないのでしょう。
我が家のパキラ、テーブルの鉢植えも、パキラ・アクアティカとして流通している、本名グラブラです。この鉢植えなら、ああ、見たことある、という方多いかと思います。

なお、この情報は、「米村花きコンサルタント」の米村浩次様に教えていただいたものです。    


(名古屋市立東山植物園・中南米産植物温室)

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