「スタンホペア・ティグリナ」 
-Stanhopea tigrina Bateman ex Lindley-


ラン科・スタンホペア属

メキシコ原産。
森林での着生種なので、バルブの間から、垂れ下がって咲きます。
観賞用に、鉢植えにするときは、花茎が、鉢底から出るように、穴を大きくしたり、ネットにしたりして、誘引して植え込まれています。 花は、大人の手のひらぐらいの大きさで、とても立派。でも、花期は短く、2−3日でしおれます。 早朝からカサカサ音を立てながら少しずつ広がり始め、完全に開くときには、ポンという音がする、と観察した人がいます。
温室内には、もう一つの「スタンホペア・サッカタ.」 がありますし、近縁とされる「バケツラン」もあります。
開花時期だけの展示です。

スタンホペアの受粉の仕組みについて、佐賀県立宇宙科学館から出しているホームページには、次のように書かれています。
「メスにもてる香水あげるよ スタンホペア」
中南米原産のスタンホペアと言うランは、花から強い香りを出して、ハチを花の内側へと誘い込みます。
この花の受粉に利用されるハチはシタバチの仲間で、ちょっと変わった生態を持っています。
オスのハチは後ろ足の太ももの部分に花の香りの油を溜めるスポンジ状の隙間があり、そこにためた香油からメスのハチを誘引する物質を合成すると考えられています。
香りに誘われたオスのハチは花に入り込み、せっせとその香りを集めますが、あまりにも強い香りに酔い、唇弁の表面がつるつるしているため、足をすべらせてすべり落ちます。その瞬間、背中に花粉塊が付着し、他の花へ運んで受粉するしくみになっています。

うーん、ランとは、何としたたかな植物なんでしょうね。

(名古屋市立東山植物園・サガロ室)

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